東京都写真美術館「アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密」
平年よりも一週間近く早く桜が咲いた東京。桜は満開だが、この日は冬に逆戻りしたようだった。
そんな肌寒く感じる日に、恵比寿ガーデンプレイスに立ち寄った。東京都写真美術館で開催されている「アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密」を見るためだ。
個人的なことだが、今はポートレイト写真を撮ることはないし、モード的な表現を追求することは元からない。だが、作風が異なる様々な作家の作品を見ることが刺激となり勉強になるので意識的に見るようにしている。
それにしても、今回のアーウィン・ブルーメンフェルドの作品は衝撃的ですらあった。
アーウィン・ブルーメンフェルド(Erwin Blumenfeld 1897-1969) は、雑誌 VOGUE のカメラマンとして有名だ。
本写真展は多くのアーティスティックなポートレイト作品をはじめ、ヴィンテージプリントなどを世界各地から集めたもので、本格的な個展としては国内初だという。
とくに今回の展示のためにプリントし直されたカラー写真は、インクジェットによるものなどを含むとはいえ、高画質・高精細で鮮やかな大判プリントされている。写真本来の斬新な構図と構成力とあいまって、現代の写真家の作品といわれても全く違和感がない。それだけ元々の写真には魅力があるのだ。
モデルが派手な衣装に身を包んだ鮮やかな写真が1940年代や50年代前半に撮影されたものなのだから驚く。モデルのメイクも流行を数巡してとても現代的であり、現在進行形のデザインとしても通用するのである。その構図やアイデアは写真界のみならず、グラフィックデザイン、映像作品にも影響を与えているのがよく分かる。
また、モノクロの写真にも驚かされる。1930年代にすでに、個性的な暗室作業でソラリゼーションやキュビスム的な表現を高いデザイン性とともに実現していたのは驚嘆するばかりだった。
印象に残った写真はいくつかあるが、ここでは COSMOPOLITAN の表紙を飾った Jackie Gleason の1枚をあげておく。(1953年公表なので日本においては著作権は切れている)
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