西上田の石油貨物扱いが終了

2011-3-26 15:02

日本のガソリン輸送は、沿岸部では港にタンカー船が乗り入れできるが、内陸部では鉄道による石油輸送が行なわれている。海に面していない長野県や群馬県、栃木県、福島県の郡山などには専用の石油貨車を用いた輸送が行なわれている。駅に隣接した油槽所に移し替えられた灯油、軽油、ガソリンなどの石油製品が、油槽所でタンクローリーに積み替えられ、ガソリンスタンドなどに送られる。

今回の東日本大震災では、日本海側を経由した盛岡や郡山への石油貨車輸送が注目されている。その一方で3月26日に長野県のしなの鉄道西上田駅への鉄道輸送が終了する。石油業界の減産や設備の統廃合の影響で、西上田の日本オイルターミナルの油槽所も閉鎖されることになった。

西上田駅に隣接する日本オイルターミナル

今後は2つ隣の坂城駅の JX (ENEOS) のオイルターミナルに統合されるとのこと。かつては国鉄の駅ごとに専用線があったが、専用線や車扱貨物は減り続ける一方だ。今度の震災で代替輸送手段としての鉄道貨物輸送が注目されたが、果たして今後はどうなるのだろうか。

残雪の残る西上田に集うタキ43000

今年に入り、1月から3月にかけて数回、西上田と坂城を訪れ、最後の姿を記録することにした。とはいってもブルートレインや0系新幹線、雷鳥のような熱狂ぶりはない。地元のファンの方が1、2人いるかいないかといったところ。さすがに3月に入り廃止が伝えられると、撮り鉄の姿が目立ったが、お互いにマナーを守って撮影する様子だった。

西上田駅のホームから

JR時代の新形式タキ1000形で統一されている坂城と異なり、西上田はタキ43000が使われている。1月に訪れたときは色とりどりのタキ43000 の中に西上田駅常備のトップナンバーが運用に入っていた。またタキ38000も使われていた。

このタキ38000は、冬期波動輸送用のため冬以外の季節は出番が少なくなるのだが、今は震災による東北本線の石油輸送がままならないため、根岸と盛岡の往復輸送用に徴収された。現在は被災地への燃料輸送という重要な任務に当たっていることだろう。

坂城で出発待ちの EH200-19 8761レ と西上田へ向けて通過する EF64 牽引の 8764レ

晴れた日の坂城駅では EH200 が緑のタキ1000を従えて出発待ちをしていた。ホームには私一人。その脇を EF64 の重連がタキ43000を従えて西上田目指して駆け抜けていった。JR 時代と国鉄時代のほんのひとときののすれ違い。日常だったこの光景が過去のものとなってしまった。

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