イスラエル博物館所蔵 ピカソ/ひらめきの原点 パナソニック汐留美術館
パナソニック汐留美術館で開催されている「イスラエル博物館所蔵 ピカソ/ひらめきの原点」を訪れまた。この美術館に行くのは初めてのことで、しかも地上からではなく新橋駅から地下を歩いていくことにした。パナソニックのショールーム辺りの吹き抜けスペースに出る。美術館はそのビルの四階にある。
新型コロナウィルス禍ということで予約しての入場。予約はしたものの、入場には少し待たされた。それほど広くないためかだろうか。また会場内での会話は禁止となっていた。
イスラエル博物館よりパブロ・ピカソの版画、油彩画、水彩画、素描などが来日。まとめて観られる貴重な展覧会だ。ちなみに版画が中心となっている。
ピカソといえばジョルジュ・ブラックとともにキュビスムの創始者として有名だが、キュビスム以降のピカソもまた面白い。この展覧会では時代ごとの変遷がよくわかる。
またキュビスム前半の「分析的キュビスム」と後半の「総合的キュビスム」の違いも解説されていた。新聞紙などをコラージュした作品もあり絵画に文字が突如として挿入されている。おもろいがやはり視覚的な実験だったということなのだろう。ピカソは自身の編み出したキュビスムを卒業していく。
キュビスムのあとに新古典主義、そしてシュルレアリスムへと変化して、晩年の唯一無二の画風へと発展していく。今回の展覧会では晩年の作品をまとめて観ることができ、興味が深まったのは収穫だった。
さて、版画はエッチング、ドラポイント、リトグラフ、リノカットなど様々な手法のものがあり、説明と共に版画が展示されているので理解を含めることができた。ちなみにリノカットとは床材に使用されるリノリウムを彫刻刀で彫って版に刷るもので、柔らかいために自由な線を彫ることができるらしい。ピカソはこの技法に80を過ぎてから取り組んだとのことで驚きである。
マティスの影響がわかりやすい油彩画《座る女》も見事だったが、私は特にカラー・リノカットの作品が印象的だった。
あとはチョークと墨で描かれたという《横たわる裸婦と髭のある頭部III》という作品はその技法に衝撃を受けてしまった。亡くなる3年前の作品だ。とにかくピカソ好きは観るべき展覧会だと思う。
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