国立近代美術館 岡本太郎生誕100年展
国立近代美術館で開催中の 生誕100年 岡本太郎展(2011年3月8日~5月8日)を観てきました。
私は岡本太郎の絵はとても好きで、少し前まで携帯の待ち受け画像を岡本太郎の《重工業》にしていたほど。この「生誕100年 岡本太郎展」は開始直後の3月12日の週末に見に行く予定でしたが、震災と停電の影響で断念していました。今回、時間を作ってようやく見に行くことができました。
私が訪れたのは平日の午前中でしたが、それでも多くの人が見に来ていました。開館時間が通常よりも短くなっていることから、連休中は混みそうですね。
入るなり岡本太郎の彫刻がお出迎え。正面には観る人を拒絶するようなポーズの《ノン》が腕を突き出しています。
絵画も初期作品から後期作品まで多数展示されています。残念なのは私が好きな《重工業》は4月で展示替えのため撤去されていました。代わりに代表作《夜》が展示。また近年発掘された《電撃》も展示。ともに人の姿を残した人物が描かれていることで有名な作品です。
初期作品の《コントルポアン》は、戦時中に焼失し、戦後に再制作されたもの。具象と抽象の対比が描かれていますが躍動感はありません。以前に近代美術館展示中に破られてしまったときの修復跡が近くで見ると分かります。
岡本太郎としての画風を確立する中期以降の作品は、原色の色彩と、直線を廃し曲線ばかりが用いられ、抽象と具象が同時に存在というもので、大きなキャンバスからさらにはみ出すような迫力が強烈です。
《明日の神話》の最終下絵も、下絵ながら横幅が11mという大きなものです。
そして、太陽の塔という実物が 70m もの高さがあり、文明の力を見せつける万博にとっては意味のない古代の像を思わせる作品は、やはり岡本太郎作品の中でも嚆矢と言えましょう。
岡本太郎作品で残念なのは旧東京都庁にあった陶板壁画《月の壁》ですね。バブル時代のせいか、建物とともにあっけなく壊されてしまいました。当時から保存の声もあったのですが、いまとなっては残念なことです。本展では原画が展示されていました。
まだまだ知らない岡本太郎 を再発見できました。期間中にもう一度行きたいくらいです。本展をご覧になった方は、川崎市岡本太郎美術館で開催中の “生誕100年「人間・岡本太郎」 展” (7月3日まで) や、アトリエを改装した岡本太郎記念館へ足を運んでみるのも良いと思います。
岡本太郎展に入場すると、当日限り有効な「常設展」と「工芸館」の無料観覧券がもらえます。工芸館は400mほど離れていますが今の季節は外を歩くのは気持ちよかったです。
工芸館では高橋禎彦展を開催中でした。ガラスのキャストやフューミングなどの技法を駆使して様々なおもしろい造詣をしているところが面白かったです。
時間に余裕のある方はぜひ工芸館にも足を運んでみてください。
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