枡野浩一プレゼンツ 「丸田祥三 写真へと旅するようなトークイベント」vol.1
“枡野浩一プレゼンツ 「丸田祥三 写真へと旅するようなトークイベント」vol.1“というイベントに参加。ここ最近は東京で仕事をしていたためこういうイベントに参加しやすいのはありがたい。
会場は新宿の Naked Loft。いちど行ってみたいと思っていた場所だ。開演前に到着したもののすでに席は埋まり、開演後には店内が一杯に。
このイベントは歌人の枡野浩一さんと廃墟・廃線などの写真で有名な写真家丸田祥三さんがトークするというもので、第1回目ということになっている。
今回のゲストはお二人を引き合わせたという評論家の切通理作さん。丸田さんと枡野さんは意外と最近知り合ったとそうである。それまでも丸田さんが切通さんに枡野さんを紹介してほしいと依頼していたにもかかわらず実現していなかったとのこと。
その理由は丸田さんを「枡野さんに会わせるのは危ないから」ということ。その説明には会場も笑いが渦巻いていたのが印象的だが、不思議と枡野さんと丸田さんは合っているようにも感じる。
イベントでは丸田さんの写真をどのような背景・意図で撮影したのか掘り下げていく。その話がどんどん脱線していき写真論をはじめ特撮から映画から放射線まで様々に発展するのがこれまた面白かった。ゲストの切通さんが強引に戻さないとどこまでも脱線し続けそうだった。
個人的に圧倒されたのは丸田祥三さんが小学生から中学生時代に撮影した写真だった。その当時から被写体の鉄道だけでなく周囲の空間や時代を含めて丹念に写し撮っているところがすごい。
私であれば望遠レンズで車両だけを写したいと思っていた時期だ。単に対象が好きでそれだけをアップで撮影していた。あいにく当時は親から借りた標準レンズしか無かったので、周りまで写ってしまっている写真も多いが、後から見るとそれがいい写真に思えてくる。
私が広角レンズの魅力にはまったのは高校時代からなのだが、丸田少年は小学生時代から広角レンズを用いて一歩引いて撮影していたという。その1枚が『東京人』の表紙にもなった新宿駅の EF13 の写真だ。
戦時中のスタイルを残した旧型電気機関車と高度成長のシンボルとも言える新宿の高層ビルの組み合わせ。それを意図してこのカットを撮るために1ヶ月半も学校を休んで新宿駅に通ったというエピソードが披露されると会場でもどよめきが。そのこだわりには驚くより他ない。
今回のイベントは Ustream 中継され録画も公開されている。期間限定で消えるとのことなので参加できなかった方はお早めに。(追記:削除されました)
嬉しいお知らせは丸田さんと枡野さんは共著で本を出すとのこと。そのラフなイメージもスライドで紹介された。枡野さん・丸田さんともに諸事情でお蔵入りしたり使用されなかった短歌と写真が組み合わされ非常にマッチして新しい意味が生まれてくるのが素敵だ。(追記:出版は諸事情で中止となったとのこと)
それとは別に廃道の写真集が発売予定で制作が進められているそうだ。ラフなものを少し拝見したが、これはとても期待のできる写真集となりそうだ。棄てられた廃道のトンネルや橋などが朽ちていき自然に飲み込まれていく様を、好奇の目で捉えたのではなく、またカタログ的でもなく、写真作品としてきちんと落とし込んでいると感じた。こちらも非常に楽しみだ。
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