史絵.梅原淳『進化する路面電車 超低床電車いかにして国産化されたのか』

2010-7-8 15:20

交通新聞社新書から発刊された『進化する路面電車 超低床電車はいかにして国産化されたのか』を読んだ。著者は鉄道ジャーナリストの史絵.(しえ)氏と梅原淳氏。この史絵.という名前にはドットが付くらしいが、ドットを読むのかどうかは分からない。収録されている写真を見ても鉄道アイドルなのかジャーナリストなのかよく分からない位置づけだ。背表紙には梅原淳事務所所属と書かれている。

さて、本書は「進化する路面電車」と銘打ってはいるが、サブタイトルにあるように「国産」の路面電車を取り扱っているため、たとえば新潟トランシスが製造した富山ライトレールや万葉線、セントラム、熊本市電0800型などの車両は対象外となっている。富山県民ならずともここ最近で注目を浴びたのはこちらのタイプだけに残念ではある。

さて、本書の内容は、いかにして国産の超低床電車が製造にこぎ着けたのかを時間的に追う内容になっている。熊本市電9700型のライセンス生産に始まり、広島市電に導入された5000型などの導入、アルナ車両による独自開発、さらにU3プロジェクト、豊橋都集うT1000の紹介と続いている。

記述的な部分としてはやはり、超低床電車ならではの台車の構造解説や開発話が多く取り上げられている。このあたりは技術が好きな方は楽しめるのではないだろろうか。

個人的には路面電車への興味は台車の構造よりも、別の部分にある。車体を含めた駅(電停)・信号などを含めたトータルシステムや、路面電車を取り巻く社会環境などに興味があるが、本書は路面電車の車両の技術的な面が中心で、周辺部分は少し触れられているだけである。

今後の著作に期待したい。

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