アイ・アム・レジェンドの別エンディング

2010-4-19 22:41

昨日は地上波でウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』が放映されていました。劇場で見そびれたので気になっていたのですが、ようやく見ることができました。

しかしエンディングに向けてのクライマックスでどうも違和感が。ネタバレになってしまいますが、自爆して英雄的な最後とか、なんかアメリカ的だし、神の声が聞こえたとかキリスト教的だし、しっくりこない感じでした。そもそもタイトルの「I am legend」って何だったのという感じです。

ところが、ネットで話題になっていたので知ったのですが、この映画には別エンディングが存在するとのこと。そして本来は別のエンディングだったのが、制作会社の意向で急遽追加撮影が行なわれて差し替えになったとか……。

本来のエンディングは、それまでの物語を180度覆すような内容だ。ウィル・スミスが血清開発用の実験台として捕えてきた女ダークシーカーは、実はダークシーカーズのボスらしき男の恋人(またはそれに類する存在)だった。ボスは、自分たち新人類を別の生き物に改造しようとするウィル・スミスの魔の手から恋人を取り戻すため、罠を仕掛けたりして、スミスを執拗に付け狙っていたのだ。ようやくそれに気づいたスミスは、女をボスのもとに返し、解毒注射(?)を打つ。そして一言「I’m sorry.」

んー。これならわかる。というかとてもしっくり来るし、いろいろな伏線も理解できる。なぜダークシーカーが罠を貼って待ち伏せしたのかとか、例えばボブ・マリーのくだりなんかも人種差別を主人公がしていた好意に照らし合わせてみると、立派な伏線だったと分かりますね。不自然な神の声が聞こえたとかいう部分も不要なのでは。

どうやら原作は地球最後の男と変異した吸血鬼の姿を借りて人間存在の本質をえぐり出そうとしたもののようですね。でもこの映画はウィル・スミスが出ているというだけの単なるホラー風味のB級SF映画にしかなっていない。エンディングだけでここまで映画の意味づけが変わってくるんだなあ。でも、アメリカの一般観衆には、差し替え語の自爆ヒーローのエンディングの方が受けるんだろうね。なんか悲しいなあ。

実際のところは DVD で別エンディングを確かめてみたいですが、ここまで違うと原作者の精神にももとるのでは。原作の小説『地球最後の男』も読みたくなってきました。

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